2021年8月テーマ
地域ネットワーク団体として行った研修で効果的だったこと
地域ネットワーク団体としてこども食堂向けの研修を実施したことがありますか?
地域ネットワーク団体として実施している研修の内容とその効果や、こども食堂を立ち上げたい方の応援、運営されている方が継続していけるようなサポート、やってて良かったと思えるような機会の提供について、情報交換しました。
食品衛生、保健衛生から子供達とのふれ合い、地域での福祉活動、こども食堂での実習、調理実習、ボランティア活動と運営、ちょっと気になる子どもとの関わり、虐待防止、ひきこもり者の居場所づくり、食品アレルギー、熱中症対策、資金調達方法、食材調達方法、ボランティア募集方法、コロナウイルス感染予防対策、各団体の活動事例紹介、助成金、会計、オンライン会議システム活用方法、性教育、災害復旧・復興の現状、防災について、防災訓練、人が集まるレクリエーション等、多様な研修の実施状況について情報交換しました。
特に効果的だった研修として、
- 学びの時間、それを深める時間、交流時間と云う流れで実施し、それぞれの団体がお持ちの「強みや弱点」に気づいてお持ち帰りをいただくので参加者は毎回増加し、コロナ前の最後の「学習交流」は100名を超える盛況となった。
- 「子どもの居場所ってどこ?~居場所に来ている人と一緒に考える~」こども食堂等の子どもの居場所実施者と興味関心のある一般市民の方と「子どもの居場所はどんな場所だったらよいのか?」をテーマにワークショップを行った。それぞれの立場で意見を出し合い、考えを深めることができた。最後に、こども食堂を利用している子どもに参加している感想とどんな大人の態度が嫌かなど率直に話してもらった。
- 食中毒や食品衛生は、県食品生活衛生課や短期大学食物栄養科長などに講師を依頼して、食中毒シーズンの梅雨前や夏前などのテーマとして実施しており、参加の子ども食堂さんからは「再認識することができた」「詳しい説明でわかりやすかった」など、繰り返しテーマにすることも大切だと感じた。
- 子ども食堂の防災・防火訓練については、「こども食堂の防災はあまり考えていなかったので参考になった」「こども食堂のスタッフで避難経路を確認したり、参加者と一緒に訓練をしたい」など、身近で重要なことだがなかなか機会がなかった点を体験できたことで、防災の意識づけができたと思う。
- 研修に新規立ち上げ希望者の参加があり、事例を提示する中で食堂運営の理解が進み、開設につながった。
といった報告があり、地域ネットワーク団体の主な活動として、各地で様々に工夫して実施されている様子を共有することができました。
地域ネットワーク団体として団体内部向けの研修(こども食堂支援を想定した)を実施したことがありますか?
団体内部向けの研修としては、コミュニケーション支援や感染症対策について、また、市町村社協とこども食堂の合同連絡会等にて県内のこども食堂の状況等について実施している、こども食堂立上げ予定の地域で、民生委員・児童委員・自治会・ボランティア・ソーシャルワーカーなど地域の方などを対象に、「こども食堂とは」というテーマで研修会を実施している、その結果、こども食堂への参加につながった、などの報告がありました。
こども食堂を立ち上げたい方の応援、運営されている方が継続していけるようなサポートについては、資金確保のアドバイスが必要であることのほか、地域ネットワーク団体への加入により、近隣のこども食堂等との意見交換や、情報共有等が得られること、継続していくための仲間がいること、一緒に食堂をしてくれるボランティアの仲間や協力してくださる地域の方、同じく食堂をしている仲間たちと、気持ちを共有し合うこともモチベーションの維持につながる、といった報告がありました。
ネットワークの運営資金の集め方や運営方法
地域ネットワーク団体に有給のスタッフはいますか? (こども食堂の有給スタッフが、地域NW団体としての業務を無償で行っているといった場合は「いない」を選択ください)
地域ネットワーク団体のスタッフの状況、運営資金の集め方や事務負担軽減等の工夫について情報交換しました。
「全員無償ボランティア」の地域ネットワーク団体が多く、組織力の向上や法人化、人材確保とそのための資金が必要とする声が多く寄せられました。また、そもそも緩やかな任意団体を意識して進めてきたので、有償の取組みとしていくべきかどうかの団体内での議論が必要であるとの声も見られました。
また、こども食堂に福祉的な役割が期待されているが専門知識や専門人材が不足している、ニーズを把握し行政に対する政策提言まで持っていくためのノウハウが足りない、組織マネジメントを教えてほしい、といった専門性確保の必要性についての報告もありました。
運営資金については、助成金、行政事業の受託や寄付による確保が多かったです。その獲得の工夫としては、
- 活動に興味をもってもらえることを第一に考え、SNSの更新頻度を上げアピールしている。可能な限りマスメディアの力も活用している。
- 資金を提供いただいている企業・団体との連携を強化する。
- 賛同してもらえる法人に、寄付つき商品の開発を展開してもらったり、社員・労働組合と企業との連携で寄付をいただいたり、課題解決に持続可能な形で参加してもらっている。
- それぞれの地域の団体を知ってもらえるようにウェブサイトで団体毎にページを作成して紹介している、地域別の一覧ページも作っている。
といった報告がありました。
寄贈品(食材・物資等)や寄付の取扱・配送について
地域ネットワーク団体として、寄贈品の受け取り・分配を行っていますか?
寄贈品の受け取り、食材等の取扱いや配送について、また、寄付金の受け取りやその配分について情報交換しました。
寄贈品については、80%の地域ネットワーク団体で取り扱っています。
以下の食材のうち、扱っているものすべてにチェックを入れてください。
扱っている食材は、お米、レトルトやインスタント食品、野菜などが多くなっています。
配送方法はどうしていますか?いずれか一つを選んでください
配送方法については、決まった形はなく、各地で工夫しつつ対応されている様子が伺えました。
食材・物資の保管については、
- 倉庫を持っておらず、直送や当日トラックでの配送、各こども食堂が直接寄贈元の保管場所に引き取りに行く、協力してくれる団体に一時保管をお願いし、各こども食堂等へ配布している、地域の企業様等の事務所に一時置かせてもらい引き取り期限内に取りに行く、といった対応
- 倉庫を有償無償で借りて保有している、ハブ拠点に分散保管している、といった対応により、こども食堂に食材を提供しているとの報告がありました。
いずれにしても、保管・配送に係るコストが負担になっているとの声がありました。
寄付金について伺います。寄付金を取り扱っていますか?
85%の地域ネットワーク団体が寄付金を取り扱っていました。
配分方法としては、
- 寄付者のご意向に沿った分配
- ネットワークに加盟しているこども食堂へ分配
- ボランティア保険の補助
- 食品温度計を団体分購入して配布
- ある程度の助成原資が集まった段階で(50万円程度)募集要項を作成、案件を集め、助成審査を行い、助成している
- お弁当容器の配布、保管用冷凍庫の整備など加盟団体の要望に添った物資の支援をしている
- こども食堂の利用人数を考慮に入れた分配を行っている
- 支援食材の仕分け・分配や、分配のためのスタッフの人件費などに充てている
- 現金で配ることはせずに、全て配送費、支援物資購入、冷蔵庫を購入し拠点整備、事務経費に使っている
といった報告がありました。
このほか、こども食堂への支援が拡がる中で、地域ネットワーク団体への寄贈品・寄付金も増えており、行政や事業者、フードバンク等と一体となった仕組みの構築が課題となっていることが分かりました。