PROJECT 情報連携プロジェクト

2021年9月テーマ

   

専門職団体との連携状況

専門職団体(※行政委託元を除く)との連携状況について、様々な情報をシェアしていただきました。ぜひ参考にしてみてください。 (いずれも30団体が回答)

こども食堂から、専門職や専門職団体へつなぐべき案件を相談されたことがありますか?


相談されたことがある場合、実際に専門職や専門職団体へつないだことがありますか?

上記2つの質問に「はい」と答えた方と、「どのようなケースで、誰(専門職や専門職団体)につないだか?」「つないだことにより状況の改善が見られたか」ということについて、情報交換しました。

  • 離婚について弁護士に相談した。
  • スクールソーシャルワーカー(以下、SSW)から相談を受けて、不登校児童の家にお弁当を届けるようになった。家庭の状況の改善を図るため、区役所の担当課、学校、SSWに相談した。現在、その家庭の子どもはこども食堂に来るようになり、母親に対する支援は継続して行っている。
  • 感覚的に「支援が必要」と感じた利用者のことは民生委員に共有している。

他にも、生活に困難を抱える利用者のために、自治体と担当課や社会福祉士、民生委員、弁護士に相談するケースが多く見られました。尚、個人情報保護の観点から、その後の状況は知らされていない場合も多いようです。


地域ネットワーク団体と専門職や専門職団体との連携体制(気軽に聞ける、協議会に参加している、など)はできていますか。


連携体制がある場合、当てはまる連携先を全て選択してください。

<その他の回答>

  • 保護司会、更生女性会
  • 保健師・助産師
  • 定期的な連絡会などは開催していないが、それぞれのNWや個別のこども食堂の中に、専門職の資格や行政機関に携わっている人がいるため、都度対応している。
  • 県、市町村、社協、JAなど
  • 各市町社会福祉協議会・地域養護推進協議会・児童養護施設・滋賀県児童入所施設協議会・滋賀県保育協議会等
  • ネットワークではないですが、個々の子ども食堂が地域の専門職団体と連携しています。鈴鹿市社会福祉協議会 鈴鹿市子ども政策課 民政主任児童委員協議会 尾鷲市福祉保健
  • ①社会福祉協議会、②札幌市子ども未来局暮らしの支援担当課(子ども食堂への補助金、ガイドブック作成等を担当している部署)、③北海道保健福祉部子ども未来局子ども子育て支援課、④さっぽろ青少年女性活動協会(児童会館等を受託している公益財団法人)

「どのような専門職・専門職団体と、どのような体制が構築されていますか」とお伺いし、情報交換しました。

  • ネットワークとして、こども食堂の運営者と行政の方々との顔つなぎの場として、交流会を実施してきた。
  • 社会福祉士を雇用し、相談できる体制が構築できている。
  • 懇意にしている弁護士事務所に、会場を借りたり、外国籍の子どものサポートをしてもらった。
  • 県が主体となり、こども食堂推進会議を開催している。

17団体から情報をいただきました。他にも、地域ネットワークのメンバーの中に専門職の方がいるといった事例も複数見られました。


「県下のこども食堂のうち、専門職や専門職団体と連携体制のあるこども食堂は、どれくらいでしょうか?」というテーマで情報交換しました。

※この割合はあくまで目安です。
※その他には、「法人内に管理栄養士がいる」、「民生児童委員がこども食堂のスタッフとして参加している」といった回答がありました。


連携に際し、個人情報保護の観点から支障が生じているケースはありますか?(回答24件)


個人情報保護の観点から支障が生じているのは、どのようなケースか、情報交換をしました。

  • 市内で「見守り強化事業」を受託している運営者から「行政側の把握している個別事案も共有していただいた方が、よりしんどい状況の世帯と関われるのではないか」との意見を頂いた。
  • 関係団体につないでも、その後の経過を教えてもらえない。
  • 民生委員によって、個人情報保護に関する意識に差があるため、安心して情報提供ができない。
  • 行政に個人情報を伝えることで来なくなる利用者もいるのではないかという不安を抱えるこども食堂運営者も多い。

ネットワークへの賛同を得るための取り組みについて

より多くのこども食堂に、ネットワークへの賛同を得るための取り組みについて、情報交換を行いました。

地域NWへの加入に関する条件を設定してますか?(回答29件)


条件を設定していると回答した団体には、設定している条件について伺い、情報交換しました。

  • ①会の目的に賛同し、居場所づくりの取り組みを広げていくこと②特定団体への勧誘や営利を目的としないこと③反社会的活動を行っている団体、個人ではないこと
  • 既にこども食堂等を開催している団体であると確認が取れること
  • ①食事や遊び、学びを通じて子どもと地域がつながる垣根のない居場所であること、②年6回以上、定期的な開催を目指していること、③「子ども食堂」が「地域食堂」として地域に開かれた居場所を目指していること、④配分された金品・物品について県社協の意向に反した活用をしないこと
  • 「こども食堂=子どもの貧困対策」というイメージを払しょくするための啓発活動を行っている手前、目的に貧困対策を掲げている団体にはあえて加入を求めていない。

多くのネットワーク団体は、地域の居場所としてのこども食堂を定期的に開催していることや、ネットワークの主旨への賛同を加入の際の条件として設定しているようです。


地域NW団体として、こども食堂にネットワークに加入してもらえるような取り組みを実施したことがありますか?(回答30件)


こども食堂にネットワークに加入してもらえるための取り組みの内容について、情報交換しました。

  • パンフレットやチラシの配布
  • 研修会やセミナーでの周知
  • 関係団体に周知を依頼
  • 未加入団体への物品配布
  • 手続きの簡略化
  • メーリングリストの作成
  • 県のアドバイザー派遣

これまで効果のあった取り組みについて、情報交換しました。

  • 立ち上げの時点で加入を呼びかける
  • 物資や寄付の案内
  • フードドライブ
  • 手続きの簡略化
  • 県のアドバイザー派遣
     

立ち上げの時点でネットワークに声掛けする事例をはじめ、様々な工夫が見られました。一方で、効果的な方法が見つからないと苦慮する声も見られました。


他にも、地域ネットワーク団体の広報・情報発信を行う上で工夫していることについて、情報交換を行いました。

  • ホームページ
  • SNSの活用
  • ネットワーク通信の作成
  • FAXや郵送などの活用
  • 読みやすい文章の作成
     

複数の媒体を使用して、こども食堂に広く情報が届くよう工夫している様子が見られました。また、「文を短くする」「タイトルを見るだけで分かるようにする」といった忙しいこども食堂運営者の皆さんへの配慮も多く挙げられました。


失敗から学ぶこども食堂のヒヤリハット

こども食堂で起こった様々なヒヤリハット事例とそこから得た教訓、改善点を共有していただきました。

こども食堂開催時における、思わぬ失敗エピソードを教えていただきました。

<調理に関するもの>

  • 水が床にこぼれて、滑ってしまった。
  • 急に気温が上昇したため、食中毒対策として、作ったものを全て廃棄した。

<子どもの安全に関するもの>

  • うなぎのかば焼きを提供したら、骨が子どもの喉に刺さってしまった。
  • 子どもがこども食堂に面している道路で車と接触しそうになった。
  • 子どもが食堂内の階段でつまづいてしまった。

<利用者対応に関するもの>

  • 初めて利用した女の子が賑やかな男の子たちに圧倒されて帰ってしまい、それ以来来ていない。
  • 会食形式からお弁当形式に切り替えたが、情報がうまく行き届いていなかった。
  • 予約していた人のお弁当を届けそびれてしまった。

<その他>

  • 寄付した方への対応ができていないことに課題を感じる。

失敗を踏まえて、改善したことを教えていただきました。

  • 人手不足なため、ボランティア募集を開始。
  • 予約の取りこぼしを防ぐため、利用者本人に記入してもらうようにした。
  • 食中毒のため、作ったものはすぐにクーラーボックスに入れるようにした。

「本当はやった方が良いのだけど…」と気になりながらも、できていないヒヤリハット対策について、情報交換をしました。

  • ボランティア、利用者同士のハラスメント
  • 食品衛生管理
  • 保険加入
  • 不審者対策

参加者のエピソード100

こども食堂に来ている人たち(子ども、保護者、ボランティア等)に起こった変化について、語っていただきました。その一部を紹介します。

  • 複雑な生い立ちで、小学校高学年の頃から不登校になった子どもがいました。学校には行けないが居場所には毎日来る生活が4年続いています。この間も、家庭内でストレスを爆発させてしまうなど心配な状況もしばしば見られました。居場所を利用する事で、少しずつ本来の自分を取り戻し、中3になると通学しながら高校進学に向けて塾にも通い始めます。高校入学を果たした後には生徒会活動にも積極的に取り組み、その後専門学校に進学しました。
    彼からのコメントを次に記述します。「ホントに長い間お世話になったので、恩は返しきれないほどあります。居場所でいろんな経験をしたことが、今ではある意味面白いなと感じられるようになりました。これからも居場所の開設、頑張ってほしいと思います。どんな形でも救われる人がいると思うからです。」
  • 親子食堂を利用する保護者は圧倒的にシングルマザーが多いのですが、彼女たちは日頃の暮らしに追われて、ちょっとした雑談や、相談事を誰かと話す時間もなかなかないようです。お弁当をもらいに来て、現場が立てこんでいないタイミングだと、ちょっとした困りごとや相談を雑談のように話すことができ、アドバイスできることも少なくないので、今では事前に話すことを決めて訪れる人も増えています。
  • ある外国籍利用者の話です。「先日もらい火により自宅が火災にあってしまった」と民生委員の方から連絡がありました。キッチンも燃えてしまって食べるものがないという事で、予約で全て埋まっていたお弁当の数を急遽増やしてそのご家庭にお配りしました。他にお困りごとはないかと聞いたところ、子どもの服やおむつなどがないとのお話を頂いたのでお弁当の配布だけでなく衣類なども提供いたしました。
    私共には持ち合わせがなかったのですが、地域で活動する他の団体に事情を説明して支援を呼びかけたところみんな快く、迅速に動いてくれ子供服、おむつ、トイレットペーパーなどを渡すことが出来ました。まさにネットワークの力だと感動したことを覚えています。
  • 子ども食堂開所から参加していた親子の話です。子ども食堂で顔見知りになったボランティアさんが、庭の水やりなどをしている時に通りがかり、家の近くだということが分かりました。その後何回か話したり、お茶をごちそうになったりしているうちに信頼関係ができたそうです。LINEも繋がり、困った時や母親が入院しなければならない時などに相談できるようになりました。困った時にそのボランティアさんに相談してくれるので、支援が必要な時は支援の手を入れることができるようになりました。
  • 自立支援を受けている方が、こども食堂に来てくれました。最初は支援員の方と一緒に来ていましたが、そのうち一人でも来れるようになりました。
    子連れでご飯を食べに来ていたお母さんですが、コロナ禍で少人数ランチ会やパントリーをすることになり、お手伝いをしに来てくれるようになりました。今や主力のスタッフになっています。
  • 子どもが中学生の頃からこども食堂を利用していた親子の話です。成人してからも継続して通っていたことで、他の子どもや親子の在り方を知り、自分の置かれてきた状況が決して普通ではなく、子どもとしての権利をないがしろにされてきたことに段々と気づいていったようでした。
    神戸の専門学校に通うことを自分で決め、バイトで稼いだお金も親に勝手に使われないよう、自身の就学の為に使えるようにして、ひとり暮らしを始めました。
    専門学校から米子に里帰りする際は毎回、親ではなく、私達の団体に連絡をくれて、寝泊りは子どもの居場所の拠点を利用しています。
    子どもに関わる仕事に就きたいと、保育士という新たな目標を持ったことを、最近、事務局長に電話で伝えてきたそうです。以前は子どもには全く興味のなかった様子でしたが、子どもの居場所に集った自分よりも幼い子どもたちと交流したり、活動に参加する中で自分と同じような状況に置かれている子どもの助けになる仕事に就きたいと考えるようになったそうです。そうした変化がとても頼もしく嬉しいです。
  • この青年は仮面ライダーが大好き。いつも服の下に変身ベルトを装着しています。同年代からはちょっと奇異な目で見られるけど、子ども食堂に来る子供達に披露した変身ポーズは大人気。さんざん練習したであろう変身ポーズは最高に輝き、まさに彼がヒーローになりました。
  • 高校まで実家暮らしをし、包丁を持ったこともない、ご飯の炊き方も知らない大学2年生の男子。夏休みに帰省して、実家が作ったお米と野菜でみんなが農作業にでている時に台所に一人で立ち、ご飯を炊き、お味噌汁を作りみんなを迎えたそうです。本人曰く、みその入れすぎ?しょっぱいみそ汁だったが、みんな「そんなことないおいしい」と言って食べてくれたそうです。それからは、帰省している間おばあちゃんと一緒に朝ご飯をつくり、料理の腕も上達しました。
    後日、こども食堂にその男子の実家からお米と野菜が贈られてきました。
    添えてあった手紙には、「今までは勉強しかさせていませんでした。今ではご飯が炊けてジャガイモやニンジンの皮がむけて玉ねぎを切り、手の上で豆腐だって切ることができるようになりました。帰りしな、お母さん料理って大変だけどたのしいね。今までありがとねと言ってくれた息子に涙がとまることがありませんでした。じいいちゃん、ムリすんなよと、大量のシップをくれました。
    うちでとれたお米と野菜ですがよかったら食べてください」など書かれていました。
    人のありがたみと家族への感謝を素直に言えるようになり、子ども達のため、地域のため、そして自分自身の笑顔のためにボランティアを継続しています。

 

他にも、ここでは紹介しきれないぐらい沢山の素敵なエピソードがあります。
その他のエピソードは別の機会にまとめてご紹介しますので、ぜひご覧下さい。

 

ご紹介頂いた皆様、本当にありがとうございます。