PROJECT 情報連携プロジェクト

2021年7月テーマ

   

HACCP対応に関するこども食堂への影響

 2021年6月1日から、HACCPに沿った衛生管理の制度化が全面施行されましたが、こども食堂の運営に対する影響や、保健所の対応について、また、HACCPに限らず広く食品衛生法に関する対応について情報交換しました。

 HACCP対応については、一部、「マンパワー的に正直実践が難しい、運営準備により時間が取られる形になってしまい、ボランティアさんには当然頼めないことなのでスタッフの負担が増えている。」といった声などがありましたが、概ね支障は生じていない、という報告が多かったです。
 食品衛生法の飲食店営業許可については、食品衛生責任者の資格取得、福祉目的の運営、名簿等による参加者特定等の条件によって営業許可の対象とされていない地域がかなりある一方で、こども食堂を開催するたびに届出・許可を取得しているといった報告もありました。
 地域ネットワーク団体と保健所の連携によって講習会を開催するなど、安全・安心な食事提供環境を一緒に確保していく関係性を築いている県もありました。県こども食堂担当課と保健所が連携してこども食堂に対する対応について基本的な方針が定められていると、こども食堂運営者が気になることがあった時に保健所に問い合わせがやりやすくなる、とのことでした。

 

 このテーマについては、スピンオフ企画として、9月に有志メンバーによるミーティングを実施し、コロナ禍の中で増えているお弁当配布への対応についてや、食品衛生協会と連携し、HACCPや食品衛生に関するこども食堂の検定制度やガイドラインなどの自主的な作成について、意見交換を行いました。

こども食堂開設に係る自治体の目標設定状況

 都道府県において、こども食堂を含む居場所に関する目標を設定しているかどうか、その内容や目標数値の状況、都道府県の施策や居場所の増加に対する影響などについて情報交換しました。また、市町村レベルの特徴的な取組みについても共有しました。

 目標設定の対象として、「こども食堂」と明記しているもの、「子どもの居場所」を対象としているものなどがありますが、それらの推進について定性的な目標を各種計画に位置付けている都道府県が多く、定量的な目標数値を定めているのはまだ少ない傾向が見られました。
 都道府県は、目標設定と合わせて、ネットワーク事業への支援や立上げ相談の民間団体への委託、基金を活用した助成、企業への呼びかけや公共施設使用への働きかけなどに取り組んでいることも共有されました。
 また、目標数値の設定はメディアが発信しやすいことや、地域ネットワーク団体等の関係者間での目合わせの意味もあることが報告されました。
 市町村レベルでの目標数値設定についての報告はごく一部に止まりましたが、中学校区に1つ、親と子どもの居場所を設置する内部的な目標を立てている市や、子どもの居場所づくりに関係のある様々な団体が「地域で子供を育てる」意識を持ってネットワーク活動が立ち上がっている市、総合計画をはじめ、地域福祉計画、食育推進計画、連携中枢都市圏連携事業への横断的な目標数値の位置付けがなされている市などの事例が報告されました。

 

 このテーマについては、むすびえとしても情報収集を進めています。都道府県においては、現状、「子どもの貧困対策推進計画」に「支援」目的の居場所として位置付けられている場合も多く見られ、ほとんどのこども食堂が参加者を限定せず、高齢者を含めて誰でも参加可能な多世代交流の意義をもつ実態に必ずしも沿わない計画上の捉え方がなされている傾向が強いです。

地域ネットワーク団体の基礎的な情報

 地域ネットワーク団体に加盟しているこども食堂数や活動概要、こども食堂との情報共有の方法などの基礎的な情報について共有しました。

 地域ネットワーク団体では、こども食堂同士の交流機会づくり、こども食堂への情報共有、勉強会・研修会の実施、食材や衛生雑貨品の調達・分配、こども食堂調査(自主調査もしくは委託事業)、こども食堂の立ち上げ・運営相談、助成金の申請・調達、周知を目的としたイベント実施など、様々な活動によってこども食堂を支えています。
 こども食堂との情報共有については、情報量が多く、必要な情報を精査し、まとめる作業が大変で苦労していることなどの報告がありました。
 今後も、どのような財源で活動しているか、スタッフの人数や待遇(有休、無休、フルタイム、パートなど)等についてや、ネットワークに加盟するこども食堂をどう増やしていくかなどの情報交換、意見交換を求める声がありました。

食品スーパー/メーカーとのコラボ事例

 食品スーパーやメーカーとの連携事例の特徴、地域ネットワーク団体の役割などについて情報交換しました。

  • 航空会社による機内サービス商品(オニオンスープ、チョコレート、エコバック)のこども食堂への提供
  • 食品メーカーや冷凍食品卸売会社による賞味期限が近い食品の提供
  • 地元JA、農家、青果市場やスーパーマーケットと連携した食材寄付
  • 生協の配送システム(運搬トラック)を活用した物資搬送
  • 金融機関の定期預金募集総額一定割合を寄付する取組み
  • 地元JC(青年会議所)によるお弁当配布

こうした連携事例について報告があり、情報交換を行いました。

 

 地域ネットワーク団体としては、

  • 寄付してもらう食材を配布する先のこども食堂情報の共有、食材使用状況の報告やお礼
  • 連携方法の相談対応窓口支援についてSNSで情報発信するなどの役割を果たしている
  • 市と協働して、食品スーパー・メーカーとネットワーク団体と三者で合意書を締結している
  • こども食堂の保険加入をお願いすることで、企業が安心して、食の支援ができるような環境整備を行っている

といった形で、役割を果たしていることの情報共有がありました。