2021年10月テーマ
県域だからできること(市域との役割分担)
地域ネットワークが県域だからこそ、どのようなことが可能になっているか情報交換しました。
県下に市町村単位のこども食堂ネットワーク団体がありますか?
県下に圏域や市区町村単位の地域ネットワーク団体がある場合、どのような連携をしているかについて情報交換しました。
- お宝シェアの事業に参加したので各地域の子ども食堂の様子の発信など
- ネットワーク組織の事務局には県内全子ども食堂関係者を対象としたメーリング・リストに登録し、日常的に情報共有を図っている
- 電話などでのやり取りは月1回以上はある
- 個々の子ども食堂と連絡を取るのが大変なので、ネットワークがあるところには、情報の発信や連絡をしてもらっている
- 県域NWでは、毎月オンライン交流会を実施している、各市域では個別に対応している
- 3か月に1回、代表者会議を行っている
- 寄付物品の受け渡しについて適宜連絡を取っている
- 県のネットワークの役員として、市のネットワークの担当者に入っていただいている
- 年2回程のネットワーク会議・研修会を行う
- 県内は広域だが県社協から市町村社協への定期便があるそうで、その便で遠隔地にも配送しているとのこと
- 「子ども食堂食材応援隊」週2回無料食材分配を実施
地域ネットワーク団体と専門職や専門職団体との連携体制(気軽に聞ける、協議会に参加している、など)はできていますか。
県下に圏域や市区町村単位の地域ネットワーク団体がある場合、何らかの役割分担を行っているか、取り決め文書などはあるかについて情報交換しました。
- 明確な役割分担はない
- 書面の作成や協議をしたうえでの役割分担ではないが、県域情報・市域情報の必要な連携のあり方が異なることから、ネットワークのもつ役割を認識しているものと考えている
- 特に役割分担や取り決めはないが、立上げ相談などがあった場合は、県ネットワークが対応している
県域の地域ネットワーク団体の役割として、意識して取り組んでいることがあるかについて情報交換しました。
- こども食堂に対しての支援が偏らないようにする(公平性を配慮)
- 子ども食堂活動者が活動の目的(何のために食堂をしているのか)に立ち戻りたいときのサポート
- 子ども食堂の立ち上げを検討している団体から問い合わせが入ったとき、情報共有を行う
- 子ども食堂運営者から普段の活動の中での困りごとを聞いたとき、市町社協にも把握してもらい、フォローしてもらえるようにする
- 助成金情報などは噛み砕いて、簡単に概要がわかるようにしたり、有益な情報は迅速に届けるようにしたり地域性の違いを意識した支援や情報提供をおこなう
- 食材や物資の分配
- 学習会や交流会の開催
- 地域ネットワークがないところのフォロー
- それぞれのこども食堂従事者の悩み相談をしている
- ゆるくつながる、無理をせず、つながる事を目標にしている
- 会員食堂さんがあってのNWなので会員さんがハッピーになることを意識している
特に市町村域のネットワーク団体との間で、事業やスタンスの違いなどについて悩んでいること、困っていることなどについて情報交換しました。
- SNSが苦手な団体やみな本業を持っているので、言い換えれば、みな無償ボランティアなので、SNS等の連絡事項に随時こたえていくのが難しい
- ネットワーク団体が自分自身で事業をし過ぎている
- 悩んではいないが、団結感の違いは感じる
- 子ども食堂ネットワークに登録していなければ、子ども食堂ではないと思っている人がまれにいる
- 県に管理されたくないという思いが強いところがあって、情報の共有や事業の連携がスムーズにいかないことがある
- HP等、公開されているが一部みえないところもあり連携がとりづらい
災情報発信や交流会の開催、定期的なオンラインミーティング、公平な物資配布など、さまざまなことに留意されながら市町村域NWと連携されていることが分かりました。
こども食堂の運営スタッフ及びボランティアの確保について
こども食堂の運営スタッフ及びボランティアの確保の方法などについて知見をシェアしていただきました。
県下のこども食堂から運営スタッフ・ボランティアについての不足を聞く・訴えられることがありますか?
スタッフ・ボランティアの確保について、「これは有効だろう」と思った対応方法について、立ち上げ時と、運営がある程度軌道に乗った時点での違いなどをシェアしていただきました。
◯立ち上げ時
- 他団体に視察、ボランティアに行き、中心人物と仲良くなり、地元で「子ども食堂を○○地域につくろう」のような公開セミナーを開催し、仲良くなった中心人物を講師として招く。その際に広く広報期間をしっかり取ってなるべく多くの参加者を集め、参加者の連絡先を必ず確保し、以後の設立準備会のメンバーや今後の支援者として位置付ける
- 少なくとも気心のしれた仲間を3人集めること。まずはボランティアに頼らずにコアメンバーだけで開催して自分たちにできること、出来ないことを顕在化する
- 社会福祉協議会を通じて地域で説明会を開催し同時にボランティアも募る
- 県内大学へボランティア募集等を実施
- 料理教室料理を作る中で出席者に声掛け
- 地域の地方紙に協力のお願いの記事を書いてもらう
- 民生委員、PTA等の協力
◯軌道に乗ったとき
- 近隣地域で活動している子ども食堂運営団体と連携をとってヘルプに来てもらう
- ホームページでの呼びかけ
- SNSの活用
- 社会福祉協議会のチラシに掲載
- 高校や大学のボランティア部へ依頼
- 町内の回覧板にチラシを入れてもらう
- 現スタッフの人間力(ツテ)
- QRコードで申し込みできるようにする
- 子供会宛のお手紙で募集
- 社会貢献活動をしたい地元企業などを探して一緒にやる
社協・学校などの機関に、スタッフ・ボランティア確保の協力を得ているこども食堂は、どれくらいありますか? 純粋に自前で確保しているところが多いでしょうか?
- 自前で確保しているところがほとんど
- 学校や社協等が力強く応援している市と全く関与していない市がある
- 協力を得ているところは全体の3分の1程度
- 子ども食堂の立ち上げ時、必ず市町社協とつながってもらうため、ボランティアの確保にも協力を得ているところも多い
協力を得られているという場合、それはどんな団体から、どんな協力を得られているでしょうか?
- 社協から民生委員を紹介してもらった
- JAさんから食材とボランティアも派遣してもらっている
- NPO法人や地域の子どもや育成者支援団体から
- 高校生がこども食堂のメニューを考えている
- 地元大学:ボランティア募集チラシの掲示
- 社協:広報誌の掲載や募集チラシの掲示
- ご縁のある大学とボランティア・インターンシップ契約を締結し、学生が学習サポートと食事も一緒に参加している
- 社協のボランティアセンターや大学の地域連携室からボランティア志願者の紹介がある
関わってくれている運営スタッフやボランティアに、継続的に活動に参加してもらうためにはどのようなことが必要か情報交換しました。
- コミュニケーション
- 大まかに言うと人間関係
- 有償でお願いする
- 目的・意義を共有する
- 会報・メーリングリストで周知
- 失敗を責めない
- スタッフとボランティアの対等の関係
- 活動内容だけではなく、例えば調理など、実施する活動にどのような意味・意義があるのかを伝える(目的意識がはっきりすると定着につながる)
- 継続して参加してもらえるよう、ふりかえったり、意義や成果を再確認したり、助言を行う
- とにかく何度も感謝(「あなたがいたから、これを実現できたんだ」という点を多少オーバーに言う)
- ボランティアにとっても居場所になるように楽しみながら参加してもらう
- 団体の活動に自分が必要だと思ってもらうこと
- 自分の居場所があるんだと思ってもらうこと
- 定期的な意見交換の場を設ける
- 急に休んでも回る体制づくり(無理なく参加できる運営であること)
- 役割を持って参加してもらうこと(何もすることがないスタッフを出さない)
- 開催結果を写真等ビジュアルでだすこと
- 年間のスケジュールを立てて、早めにお知らせする
特に調理スタッフの確保についてのご苦労と対応策について、何か聞いていること、感じていることを教えていただきました。
◯ご苦労
- 調理をするボランティアスタッフの方々は高齢者が多く、コロナ禍では密を避けるためや高リスクであることからボランティアに来られない状況にある
- 負担の軽減のために、準備~片付けを二部制でやりたいがスタッフ・ボランティアが足りない
- ボランティアの意見を聞きながら、どういう方向性で進んでいくのか決めるのが一番難しい
- 40代~70代くらいの女性が多いので、家に高齢者がいる、子どもが県外から帰省してきた、夫が濃厚接触者になった…など、本人だけでなく家族の事情から参加できない方も多く、確保しにくくなった
- 栄養士、調理師の資格を持った方の確保が難しい
◯対応策
- 病院の食堂で現役の調理師として働いている人を調理チームのリーダーとして招き、少人数でも効率的に調理をこなす工夫をボランティアが学んでいる
- 全員ボランティアの任意団体であっても、まとめ役となる人を決めておくことをお勧めしている
- チェックリストや冷凍食品の活用など、安心して参加してもらえるように工夫
ボランティアの確保の課題が多々ある中で、どの地域も色々工夫を凝らして対応してくださっていることが分りました。また高齢のボランティアの方が多いこども食堂が多く、コロナ禍での感染リスクなども考慮され、さらにボランティア確保の課題の一つになっているというご意見もたくさん見受けられました。
こども食堂調査の実施状況について
こども食堂の実施状況の調査について詳しく情報提供をしていただきました。
地域NWとして、こども食堂への実態把握調査を実施したことがありますか?(受託事業も含む)
実施したことがある場合、その実施状況についてお答えください。(該当すべてに○)
こども食堂を対象に調査を行ったことがある場合、それはどのような内容ですか?
- 活動日、金額、支援してほしい物資など
- 箇所数、活動場所、法人格、目的、開催頻度、対象、主な食事の内容、食材提供の有無、財政、他の組織との連携、衛生管理、保険加入実態、アレルギー対応、個人情報保護、運営課題、併せて行っている活動について(参考:子ども食堂サポートセンターいばらき)
- こども食堂の実態調査と、こども食堂の参加者に対する実態調査の両方を行っている
- 一回の参加人数、一回の費用
- コロナ禍における年間の活動状況、冷蔵支援品の使用状況、お弁当作成状況の調査
- 農業に関する取り組みについて(県補助金事業の一環で)
図書に関する取り組みについて(インフラ化(本の読み聞かせや図書の貸し出しなど)の取り組みを進めるため) - コロナ禍の活動状況、困りごと
- こども食堂の活動継続・発展に必要な環境整備や支援方策を検討するための基礎調査
- どのこども食堂でどんなエピソードがあるか
- ネットワーク事務局に望むこと
調査結果を活用し、事業や取り組みの改善等に活かした事例を教えていただきました。
- 調査結果を基にガイドブックを作成
- 調査結果で得たeメール・アドレスをもとに、県内子ども食堂関係者のメーリング・リストを作成
- 希望する食材の情報を公開し、食品寄贈仲介を促進
- 子ども食堂設立希望者などを対象としたセミナーで、毎回この調査結果に触れ、子ども食堂の現状がリアルに伝わるようにしている
- 次年度助成額の予算立ての参考にしている
- 活動休止されている理由などを把握し、他の子ども食堂でされている工夫などを紹介したり、必要な物資や情報を提供したりすることで活動再開を後押ししたり、活動継続を応援している
- 子ども食堂の現状や困りごとを把握し、企業や団体へ必要な協力を呼びかける
- 県や市町村行政への課題提起の基礎資料や寄付を財源とする支援物品の選定
- 県主催の開設セミナーや周知目的の講座の際に県の現状をお伝えするのに活用している
- 県に要望書を出し、支援が必要な方に適切な相談窓口を案内できるよう相談窓口の連絡先一覧の作成に向けて市町村へ確認を取っていただけることになっている
各地域において、こども食堂の実態を把握することの必要性や課題について教えていただきました。
◯調査回数が多いことが課題
- むすびえや厚労省調査も含め、他の分野の市民活動と比較しても調査回数が多過ぎる。こちらが見えていないだけで、学生論文などにまつわる調査も多くある。それらが子ども食堂の回答負担、回答拒否にもつながっていると思う。もちろんコロナ禍で変化が大きいので、こちらもしっかりニーズを把握したいということもあるのですが、少し過大かと。(できれば年1回程度に抑えてあげたい)
- 同じような内容の調査が大きな機関・行政などから何度も依頼されることは苦痛
- 今、多くの調査が子ども食堂に寄せられているということなので、調査疲れが生じていないか
- 実態をできるだけ細かく把握したいが、調査に協力する子ども食堂が負担を感じないようにしないといけない
- 調査元がいくつかあり、調査時期が重なったり少しずれたりした場合、子ども食堂さんが何度も調査回答をしなくてはならない
◯ネット回答の課題
- ネット回答が難しい団体も多々あり
- 高齢者主体の団体の場合、その中でインターネットができる人いるのかどうかもわからない
◯連携が課題
- 個人の力だけで、箇所数を把握することも難しくなってきているため行政とNWが協力して把握していくことが求められている
- どこを窓口に調査をしたらよいかわからない
- 調査に回答してもらうためには、まずは実際に顔を合わせて信頼関係を築くことが必要、しかし県土が広く、開催回数も月に1回がほとんど、そして土曜日に集中しているため、なかなか訪問することができていない団体がある、信頼関係がないと、連絡先もわからない
- 数も把握できていない、実態も把握することができないのはすべての食堂を届出制になっていないから、届出制にした方がいいのではないか
◯連絡が取りにくい子ども食堂があることが課題
- コロナ禍で活動停止となった団体も少なからずあると思うが、調査回答を呼びかけてもそのような団体は調査に回答せず、実態を十分掴み切れていない
◯回答率の悪さが課題
課題の面では、調査数自体が多く、こども食堂の負担になっていると危惧されるご意見が多く、検討すべき課題だと感じました。必要性については、実態が不明であれば、支援のニーズの有無や内容がわからないため把握の必要性は感じている、先行実施のこども食堂の活動を、相談に応じて共有できるなどのご意見を多くお寄せいただきました。
こども食堂の立ち上げ相談状況について
2021年に入って新設されたこども食堂数について情報交換しました。
- 1箇所(回答数1)
- 2箇所(回答数2)
- 2箇所目を(ショッピングモール内)を新設
- 3箇所(回答数2)
- 4箇所(回答数1)
- 具体的な数字は把握していないが、少なくとも5ヶ所程度増えた(回答数1)
- 6箇所(回答数1)
- 7箇所(回答数2)
- 9箇所(回答数2)
- 10箇所程度(回答数3)
- 10-20箇所(回答数2)
- 30箇所(回答数1)
- 調査中(回答数2)
よく聞くのは、「事業者からの立ち上げ相談が多い」という話なんですが、みなさんのところはどうですか?何か特徴的な点を教えていただきました。
- 児童デイサービスや保育園等の福祉事業者や、宗教関係者(仏教、キリスト教、天理教)が立ち上げをしている
- 社会福祉法人の何か規定?が変更されたのかどうかで、社会貢献事業として始めるところが多いと感じる
- 福祉事業者で余裕があるところは場所や経費の余裕もあるようで自力で始めようとしているところが多い
- 社協が関連している所が多い
- 事業者がSDGSやイメージアップのために検討するケース
- 大手飲食チェーン店がこども食堂の運営を独自に開始した
- デイサービスなどを運営している株式会社がこども食堂の運営を開始した
- 居酒屋など飲食店からフードロスが出るから捨てるくらいならおいしく食べてほしいとか、飲食店だからこそ食で支援できるという相談があった
- 社員食堂の空いている時間帯とかに子ども食堂に貸し出すとか、継続的ではないがイベント的に「招待したい」とか、そういう相談は食と関係ない会社からも相談があった
- 宗教施設からの立ち上げ相談が多い
この状況下でも居場所を立ち上げようと考える人の「想い」というのは、どんなものなのか情報交換しました。
- コロナ禍になり一時はボランティア離れが叫ばれていたが「こういう時だからこそ何か自分にできることがあれば手伝いたい」とボランティアを始めた方々がいた
- 子ども食堂とは別のことをやっているが、子ども食堂を併設することで認知度を上げやすくなると考えているかたもいた
- 困っている子どもを助けたいという想い
- 地域の子どもたちために何かしたいという思いが強い
- コロナ禍で苦境を強いられる人が身近に増え、それに伴い子どもたちの暮らしが大変な状況にあることがより現実的なものとして感じられるから
- 子どもの貧困を見て見ぬふりできないという人が多数
- こども達と運営側の温度差のない、心地良い居場所を作りたい
- コロナ禍で居場所が失われる、自粛生活で出かけるところがない、生活が苦しい人が周囲にいる、子どもたちの様子が心配など今こそ居場所が必要という想い
- キーワードを拾うと「温かい」「笑顔」「子どもの成長」「居場所」「学び」といったことが多く聞かさせていただいている
- コロナ禍で収入の減った一人親への食提供と話せる場を作りたい
- 一緒に活動するスタッフにとって、社会性を学ぶ場を作りたい
- 地域に恩返ししたい
- 子どもに限らず、孤食(老人)の人との交流の場を作りたい。地域の交流拠点が欲しい、顔の見える地域を作りたい
- 一番多いのは子ども達を楽しませたいという想い
- 子ども達の瘦せた姿やいつも同じ服装、髪や爪がいつも伸びている状態を目の当たりにして、「考えるより行動する」と始めた方がいた
- 既存の枠組みへの不満が原動力になっている印象
- 何か近所の子どもたちの為にできる事はないか
- 高齢者もいま大変だから、子ども、高齢者を一緒に支援したい
- 子どもたち生きていく上での困難さを理解できているので、子ども食堂をやりたい
- コロナで人との接触を制限される中、生きづらさを感じ不登校になっている子ども、そして不登校の子をもつ親が精神的に子どもを支えられなくなってしまったケースが多いこと等があげられた
- コロナ禍でいろいろ考える時間が増え、今だからやれることは何かと仲間と話し合い、子ども食堂の立ち上げにつながった
- コロナ禍、学校が休みで、家で過ごす時間が増えた子どもたちの食事が心配になり、何かできないかと立ち上げを考えた
コロナ禍でこども食堂を立ち上げようとされた方達のリアルな声をシェアしていただき、コロナ禍でも全国的にこども食堂がとても増えた理由は、こういう想いが集まってのことだったのだと改めて再確認することが出来ました。