PROJECT 情報連携プロジェクト

2021年11月テーマ

   

災害発生時の支援体制について

災害時における地域支援の事例や具体的な対策について、さまざまな情報をシェアしていただきました。ぜひ参考にしてみてください。

これまでに、それぞれの地域で災害時に地域支援を行ったこども食堂の事例をご存知でしょうか?

「これまでに、それぞれの地域で災害時に地域支援を行ったこども食堂の事例をご存知でしょうか?」とお伺いし、はいと答えた方に、「どの災害時に、それぞれの地域でどんな支援を行ったか、また誰とどのような連携をしたか」情報交換しました。

  • 北海道胆振東部地震の際、札幌市内で活動するこども食堂の運営者さんが現地に食材を届けたり、炊き出しを行ったりしていた
  • 台風19号で被災した際、水戸市のこども食堂が被災中心地のお寺を借りて出前でこども食堂を開催した
  • 栃木県の水害時、おにぎりの提供やボランティアセンターと連携して小学校のコミュニティーセンターでサロンの開催をした。この際、病院と連携して人数を確保し、建築関係の人にも来てもらって修繕について個別相談できるようにした
  • 埼玉県の保育園が床上浸水した際、現場で炊き出しをした
  • 長野県では台風19号の際、食材の無料配布や生活物資の支援を行った
  • 愛媛県の豪雨災害の時に有志で炊き出しを行ったことからこども食堂が始まった

  • 豪雨災害時に福岡県から熊本県に食材や物資を届けた
  • 佐賀県の豪雨災害の際に鹿児島県のNPOからSPF(佐賀災害支援プラットフォーム)に食材提供があり、被災地での地域おこし協力隊によるこども食堂などに利用された
  • 熊本地震の際に、災害支援ネットワークや団体と連携し、炊き出しや弁当作り、アレルギー用の離乳食の配布を行った
  • 長崎県内のNPOと連携し、こども食堂に備蓄している物資や一般募集で集まった物資を必要な方に届けた、被災地への迷惑にならないよう支援されているプロにお任せした

現在、災害発生時用のこども食堂の連絡体制は構築されていますか?

「現在、災害発生時用のこども食堂の連絡体制は構築されていますか?」とお伺いし、災害発生時に、地域ネットワーク団体として取り組まれている具体的な対策について情報交換しました。

  • メーリングリストで状況の確認を行なっている
  • さがこども未来応援プロジェクト実行委員会がハブになって情報の送受信をしている(メンバーの一部が佐賀災害支援プラットフォームに参画)
  • SNSで活動の報告や支援品などの呼びかけをしている
  • 現在は具体的な対策はしていないが今後の対策について早急に考えたい

行政など他の機関からの協力が得られる体制になっておりますか?

「行政など他の機関からの協力が得られる体制になっていますか?」とお伺いし、どんな機関にどのような協力を得ているか情報交換しました。

  • 常日頃から子どもの暮らし担当課や保健福祉部、社会福祉協議会の皆さまと緩やかなつながりがあるが、災害時を意識した関係ではなく日常的にやりとりができる関係
  • 県社協が事務局を務める防災ボランティアネットと繋がっている
  • 大規模災害時に福祉専門職からなるチームを避難所に派遣する仕組みに加入している
  • 自治体の協力を得られる体制が出来ている

災害発生時に障壁になっていることについて情報交換しました。

  • 被災者支援に関心はあるものの実際どう動いたらいいか分からない、経験がない、というこども食堂が9割だと思われる

  • うまくその関心を行動に結びつけられるか、具体的な支援の呼びかけが必要

  • 災害発生時にこども食堂がこども食堂として支援することが必要なのか分からない

  • 守秘義務の壁

  • 独自の避難所がない

  • ネットワークとしてこども食堂関係者に防災学習会を開きたいと思っているが、これまで独自に防災訓練をやったことのあるこども食堂が「自分たちは出来ている」という意識でいるため説得が必要

 

災害時という難しい局面でもそれぞれに工夫されて、地域とも連携し、こども食堂の開催や炊き出し、場の運営などをしてくださっていることが分かりました。実際どう動いたらいいか分からないなどのお声もあったため、むすびえでも災害時の工夫などについてまた別途まとめて行けたらと思います。

提供する食事メニューの決め方_気を付けていること

メニューの決め方や寄付されて助かる食材などについて知見をシェアしていただきました。

こども食堂の開催時、提供する食事メニューの決め方について多いと感じるものを2つ選んでください。(選択式)

こども食堂のメニューの決め方として特徴的だと思う事例は?

  • 年間のメニューをあらかじめ決めている
  • 主のメニューの他に毎回カレーは必ず作る
  • 寄付された野菜をみて前日献立を緊急に変えることも多い
  • メニュー会議を毎月開きシェフなどのアドバイスをもらって献立をきめる
  • 郷土料理を意識して作っている
  • 子供が帰ってからお母さんと話しのネタになりそうなメニューにする
  • アレルギーを持つ子供が来たら、別のものを出せるよう準備している
  • 同じ食材を使って、同時に数種類のメニューを提供している

 

こども食堂の食事メニューについてネットワークとして呼びかけたり情報提供したりしていることは?

  • メインのおかずとなる食材の大口寄付情報を発信している
  • 食品温度計を配布して特に揚げ物・ハンバーグなどの深部温度を測るようにお話ししている
  • むすびえより情報提供いただいたレシピ集をウェブサイトで案内している
  • 都度お互いの状況等のシェアをし、結果として注意喚起につながっている
  • 調理時の注意点など保健所からの注意喚起を一斉メール
  • 栄養士団体に子ども食堂向けのメニュー開発をお願いし、料理教室を行った
  • アンケート実施、レシピの共有、感染症対策などについての講習会実施

 

寄付していただいた食材について、余ってしまいがちなものは?

  • ジャガイモ
  • 量が多く賞味期限の短い食材
  • 新米の季節はお米の寄付が多すぎる
  • 野菜とお米は売りたいくらい余る時がある
  • そうめん類
  • 山菜やゴーヤ、辛いものなど多くの子供が苦手な食材

 

寄付していただいた食材について、不足しているものは?

  • キャベツ
  • 人参
  • 玉葱
  • 果物
  • 鶏肉
  • 調味料
  • ジュース
  • お菓子

 

寄付していただいた食材について、特に助かるものは?

  • 調味料(油、味噌、醤油、トマト缶、カレールー、焼きそばソース、昆布だし、ケチャップなど)
  • タンパク質源(肉、卵、魚など)
  • 子ども達がわくわくする食材(ピザ、ハンバーガー、ポテト、お菓子、果物)
  • 日持ちのするもの(缶詰、常温保存可能なもの)
  • お米

 

「災害用備蓄食品」について、こども食堂の受け止めをどのように感じていますか?

 

抵抗がない

  • 災害用備蓄米は、子ども食堂のお弁当提供時にどのような使途で使うものか説明しており、子どもも大人もとても興味深く、味もおいしいと話していた
  • 量が多いのでよかった
  • もしもに備えた体験ということで喜ばれた
  • 防災食のデモンストレーションに活用し学びにつながっているので助かっている
  • 最近の品は柔らかいもの、美味しいものが種類が豊富と感じる
  • 食品ロス削減の観点からは賛成
  • 以前よりは格段においしくなったので抵抗はない
  • 備蓄品だけだと悲しいかもですが、他にもいろいろ選べるようにしているので問題ない
  • 万一の時に食べないといけないのだから味を知らせておきたい
  • こども食堂は災害用食品の備蓄基地であるべき

 

抵抗がある

  • 正直あまり美味しくはない
  • 必要以上の添加物が使用されている食材が多い為調理には使用しない(お土産に)
  • そもそも置き場所がない
  • あまり喜ばれるものとは言えない
  • 寄付品アルファ米(ピラフ50人分)を勉強の為調理した事があったが、硬さ、味共に 難あり食事提供はしなかった(5年ほど前)

  • 食べたいと思わないものを食べさせたくない
  • 開催規模によっては、多いと感じる場合がある
  • せめてこども食堂ではちゃんとしたものを食べさせたいと思っている主催者は多い
  • 賞味期限が近すぎるものについては少し困る

 

栄養価が高く、少しでも美味しいものを食べてもらいたいというそれぞれのこども食堂の思いや配慮が伝わってきました。


「こども食堂」がはじまってから来年で10年。何か考えていることありますか?

2012年8月、大田区だんだんで「こども食堂」の暖簾がかかってから10年を迎えます。活動地域で、10周年を機に何か企画や取り組みなど考えておられることはありますか?

  • ネットワークセミナー&交流会

  • 市内の団体が一斉に子ども食堂を行う「こども食堂の日」とう企画

  • 10年誌を作成

  • 福岡県こども食堂サミット


こども食堂10年で何かするとしたら、どんなことをしてみたいですか?

 

  • 全国のこども食堂を回る、子どもたちが楽しめるキャラバン

  • こども食堂の本来あるべき姿について、をテーマにした講演

  • 子供の喜ぶようなイベントやお祭り

  • 活動報告を含めたフォーラム

  • 全国の子ども食堂でレシピコンテスト

  • 地域で子育てをするためのツールであることをあらためてPRしたい

  • リアルイベント開催を検討中

  • 全国のこども食堂の様子をつないだ紹介DVD作り

  • 10周年記念スナックを作ってこどもたちにプレゼント

  • 各こども食堂が同じメニューで作る企画


活動地域でのこども食堂がこれからの10年、どのようになったらいいと考えていますか?

  • こども食堂を立ち上げたい方が開設しやすい環境
  • 運営者の方々が継続しやすいようなサポート

  • 表立って困窮していると言えない家庭とつながりやすい環境

  • 誰もが知っている「あの食堂ね」という程度の認知度の高まり

  • 利用者の世代が変わっても訪れ続けてもらえる

  • お互い支えあい、地域に認められたい

  • 子どもが歩いていけるいろんな場所にこども食堂がある

  • 私たちの活動を見てやりたい人の輪が広がったら、それに勝るものはない

  • 本当に困窮している家庭にきちっと食事が届くしくみ

  • お互いがお互いを補完できることを食堂で学び、地域社会においてだれ一人取り残さない、排除しない意識の高い地域になることを目指したい

  • こども食堂が社会インフラとして根差している社会

  • 資金面等の調達が簡易になり、開催団体が増え 地域コミュニティの一環となっていく

  • こども食堂と言う言葉が日常会話で話されて、多様な人が作る地域のコミュニティの場所として認知されるようになる

  • 認知率だけでなく参加率を上げたい

  • 全小学校区に1つ!

  • こども食堂を1くくりにした指針などができ、食品衛生法を守りながらも、やりたい人 ができるこども食堂であってほしい

  • こども食堂で「食」「科学」「芸術」に触れ合える環境づくりを行い、こども食堂が子 どもの創造拠点となる

  • 子どもたちが歩いて行けるところに居場所がある状態、こども食堂の開催日が増え、地域で毎日のように開催されているような社会になってほしい


こども食堂10年に際し、むすびえに期待することがあれば教えてください。

◯情報発信

  • 全国の情報を丁寧に吸い上げ、社会に発信していただけたらと思う

  • こども食堂が継続できるような仕組みや制度の提案

  居場所へ 成功事例(モデル)の情報共有

  国、自治体へ 課題提言活動の継続(特に子育て支援事業への助成スキーム整備)

  • 今後も制度の改正に関する情報など提供して欲しい

 

◯繋ぎ役

  • 引き続き全国のネットワークをつなぐ役割

  • 交流会・行政、企業との橋渡し

  • 「こども家庭庁」と連携して頂き、全ての子ども食堂に公正・公平に様々なご支援
    (食材面・資金面)が行き届くように働きかけて頂きたい

 

◯新規立ち上げや資金や物資の支援

  • メモリアルイヤーに、世間にもっとこども食堂を知ってもらうためのイベントを行う運営費の補助

  • 生きにくさを抱えた人の居場所としてのこども食堂もあちらこちらにできていく支援

  • 誰もが子ども食堂をやってみたいと思った時にサポート出来る体制

 

◯イベントやフォーラム等の開催

  • 公園こども食堂イベントを開催して欲しい

  • SDGsとからめて、地域の企業がこども食堂へ支援しやすい事例や体制を提示案等のフォーラムを開催していほしい

  • 今後も情報交換、学び合いの場を設けて欲しい

 

◯広報

  • こども食堂は、あらゆる人と無関係ではない存在であることを、今後も広報してほしい

  • こども食堂指針の策定をしてほしい

  • 1つの地域ではできないこども食堂の支援アプリやゲームを考えてもらい、子どもを含むみんなの意識を変えていってほしい

  • 応援してくれる企業や個人にお渡しできるステッカーを作ってほしい

  • 各地域でのイベントなど参考になるような情報の発信

  • 今後も色々な子ども食堂をよく知ってもらい、色々な事例を教えていただきたい

 

◯そのほかにも色々なご意見をいただきました

  • 取りこぼしの人が居なくなるまで頑張ってほしい

  • むすびえが蓄積しているデーターが、日本の困窮者支援や子ども支援を変えていく元になるのだろうと期待している

  • 全国のみなさんとおそろいの幟などこども食堂の機運が高まること

  • 中間支援団体における人材育成

 

たくさんのご意見を寄せていただきました。ご期待に添えるように今後も尽力して参ります。