2022年1月テーマ
ネットワークの寄付金の使い方について
寄付金を取り扱っているか、また寄付金を配分する際の対象先として何か条件を設けているか(例:ネットワーク加入のこども食堂のみ等)、情報交換し、グラフにまとめました。
寄付金について伺います。寄付金を取り扱っていますか?
寄付金を配分する際の対象先として何か条件を設けていますか?(例:ネットワーク加入のこども食堂のみ等)
条件を設けている場合、その内容について教えていただきました。
- 一般的な助成事業と同様、募集要項を作成し、その中で趣旨や対象となる活動などを明示し、制限している
- 活動報告書として①団体名②設立年月日③団体代表者名④団体スタッフ数(有給と無給に分ける)⑤食堂開催日⑥食堂参加人数(未就学児・就学児・大人)を記載してもらう
- 簡単な活動報告を書いてもらう
- 寄付してくださった側のご意向に従うようにしている
- ネットワーク加入のこども食堂のみ
- いただいた寄付は助成金として扱い、申請書を提出してもらい、選考している
- 活用後に報告書を提出してもらっている
- ネットワーク加入団体で年2回の研修会又は情報交換会に1回でも参加した団体
- 立上げ団体や行政等からの補助金が無い団体、補助があっても赤字の団体
- ネットワークへの参加・団体名・代表者名・開催場所住所・電話番号・メールアドレス・HPやFBのURL・開催情報(時間・参加費・開催日)等を伺っている
寄付金を配分する場合、現金で配分することがあるか教えていただきました。
寄付金を配分する場合、現金で配分することがありますか?
上のグラフでいいえと答えた方に、現金で配分しない理由を教えていただきました。
- 助成金額も30万円と少なくないため、現金手渡しは会計処理としては不適切、助成対象団体が指定する口座に振り込むようにしている
- 寄付金を受ける体制が出来ていない
- 支援品購入や拠点整備に使い現金を配分をするほど残っていない
- 基準の設定が難しい
- どういう使い方になるかわからないため
- 配分ではなく、助成している
上のグラフではいと答えた方に、現金を配分する際の基準をできるだけ詳しく教えていただきました。
- 趣旨にあった活動か
- 地域課題の解決や価値創造に明確に結びつくか
- 地域の居場所と出番の広がりを目指しているか
- 市民の共感と参加を得やすいか
- 他の組織のモデルになるか
- 他団体との繋がりは十分か
- 活動の実現可能性は高いか
- 使途は適切か
- 寄付してくださった側のご意向に従うようにしている
- 企画書を見て、外部の人にも見てもらって、こども食堂の安定性(ここなら上手に使ってくれるいった考え)を見て助成先を決めている
- 困りごとのアンケートに回答していただき、その困りごとに応えるように
- 寄付金額の合計100万円以上で一律に配分
- 世話人5名(利益相反が発生しない様)で内容を精査し決定
現金で配分する場合、積み立てを行っているか、その都度分配しているか、情報交換しました。また、積み立ての基準額についても、可能な範囲で教えていただきました。
- 50万円を目途に助成のタイミングを計っている
- 積み立て等は特に行なっておらず、都度、事務局長が対応している
- その都度分配している
- 積み立てを行っているが、いくらになったら分配するという基準はない
- その都度配分したり、積み立てもいる
- 分配できる額だと、分配するが、できない場合は積み立て
- 特に積み立ては実施していない
寄付金の受付や分配など会計業務について、誰が担当をしているか、ネットワークメンバーなのか、会計士など組織以外のメンバーにお願いしているのか、情報交換しました。また、組織以外のメンバーにお願いしている場合は、その役割分担についても教えていただきました。
◯内部
- 理事長(副理事長・監事合計5名で検討し、理事会にて承認を得てから行う)
- 理事
- 事務局長
- 会計担当者
- ネットワーク事務局の職員、メンバー
- 県社協内の総務担当部署(分配は担当部署と子ども食堂担当部署が協議の上)
◯外部
- 法人の経理担当者に依頼
- 組織外の行政書士に依頼
寄付金の使い方について、現金分配や物品購入以外で活用している方法について、具体的に教えていただきました。
- 運営者が集まる学習交流会などの施設利用費
- 事務局内での交通費
- イベント参加への交通費補助
- 保険料
- 食品衛生責任者養成講習会受講料の助成
- 情報交換会の時の講師の交通費
- ボランティア保険補助
- 居場所の運営及びスタッフの人材育成やスキルアップを目的とする活動に対する助成金
- 広報費用
寄付のタイミングや量が読めない企業などにどのような形で、協力依頼しているか。どう言ったことをお願いされているのか情報交換しました。
- こちらから特にアクションは起こしていない
- 企業に個別に寄付募集、営業活動をしているのではなく、市民も含め、随時寄付募集の受け皿を設けている、というような状況(もちろん、例えば1企業あたり50万円以上寄付したい、という話が来たならば、個別の冠基金の組成を提案する)
- ナマモノ等は直接、近隣の子ども食堂へ寄付してもらうように促している
- 賛助会費の募集はチラシを作成し随時配布している
- 賞味期限やコロナ禍を念頭に寄付の時期、予想数量、品種類等を助言している
- 子ども食堂で必要となる経費の費目(食料費、会場代、保険料など)などはお伝えしている
- 社内外でのフードドライブ事業(一部地域の郵便局や支援企業で実施中または予定)
- 会議室等、場所の提供(学習支援の居場所等にマッチング ※提供あるが未実施)
- 寄付等で集まった支援品のこどもの居場所への配送(今後協力依頼予定)
寄付金を取り扱っている団体が多い一方で寄付募集については特にアクションを起こしていないというところも多く、自然に寄付が集まってくるほど世の中の関心がこども食堂に向いているということなのかと感じました。
様々な活用方法についてもシェアしていただきましたのでご活用いただけたらと思います。
こども食堂の立ち上げ講座について
あなたが取り組んでいる都道府県や市区町村で、子ども食堂に関する立ち上げ講座を実施しているか教えていただきました。
あなたが取り組んでいる都道府県や市区町村で、子ども食堂に関する立ち上げ講座を実施していますか?
立ち上げ講座を実施している場合、いつ頃からどこが主催で行なっているかをシェアしていただきました。
- 2019年から、茨城県からの受託業務の一環として運営している「子ども食堂サポートセンターいばらき」(当団体)が中心となって実施している(茨城県)
-
昨年9月より新たにこども食堂を開催したい個人や団体についてはネットワーク主催で個別の相談会を開催している(徳島県)
- 2017年に札幌市内で自主企画として、2018年には旭川市より行政委託を受けて、北海道NPOサポートセンターと実施した。2020年以降は、北海道より子どもの貧困対策計画に「子どもの居場所を179市町村に作る」と明記されているため、NPO法人ワーカーズコープが業務委託を受けて、各地で行なっている(北海道・道央)
- 2019年から山口県主催で年間4回(山口県)
- 2019年から、岩手県の子どもの居場所ネットワーク形成支援事業の中に含まれているのでその事業として行っている(岩手県)
- 2017年から公益財団法人ひろしまこども夢財団、2019年以降はNPO法人広島こども食堂支援センター(広島県)
- 随時、個別で相談をしていたが、昨年の6月から毎月1回「立上げ相談会」を大分県社協(おおいた子ども食堂ネットワーク事務局)主催で実施している(大分県)
- 講座と言うより、個別対応をしている(熊本県)
- 2021.6~県から業務委託された熊本県ひとり親家庭福祉協議会にて個別アドバイザー派遣(熊本県)
- 2019年に初回、2021年に2回目を松本地域子ども応援プラットフォーム主催で実施(長野県)
- 2019年から県の依頼で実施している(秋田県)
立ち上げ講座のプログラム内容について、できるだけ具体的に教えていただきました。
2時間前後というご回答が多かったです。
- 県内子ども食堂の概況説明が45分(当団体)、ご当地の子ども食堂による事例共有が30分、開設に向けたワークシート記入などが30分、合間に質疑応答をたっぷり取り入れて、全体で2時間半
- 研究者30分、行政報告30分、子ども食堂運営者10分×2団体、質疑応答、合計2時間程度
- 行政説明(20)コーディネーター(30)事例発表(20×2)グループトーク(20)計120分(休憩10分含む)
- こども食堂とは・実際の運営の様子(60分) 質疑応答30分 合計90分
- 基調講演1時間、事例発表1時間(20分×3団体)、ワークショップ30分
- 「子ども食堂について、県内の状況」(15分)、「子ども食堂立上げ~開設」(20分)、「子ども食堂への支援あれこれ」(5分)、「なんでも相談タイム」(15~20分)全体で60分の相談会
- 要望に応じて、出張立上げ相談、オンライン相談も実施している
- 行政45分、大学教授(事例紹介30分)(子ども食堂の作り方について90分)合計2時間45分
- 運営者あいさつ講師紹介10分、講師60分、グループワーク30分、質疑応答15分その他5分 合計2時間
- 内容運営者60分、グループワーク30分、質疑応答30分、合計120分
実際に立ち上げ講座への参加をきっかけに立ち上げた(と思われる)子ども食堂の数を知っている限りで教えていただきました。
- 1箇所(回答数1)
- 2箇所(回答数2)
- 3箇所(回答数2)
- 4箇所(回答数1)
- 6箇所(回答数1)
- 15-16箇所(回答数2)
- 20-30箇所(回答数3)
立ち上げ講座を実施する際に気をつけていることを情報交換しました。
- なるべく先輩となる団体のリアルな状況が伝わるようにしている
- 子ども食堂運営で共通課題となる点や、その解決の方向性なども伝えるように意識している
- こども食堂運営者になる人がどういう思いで立ち上げたいと思ったか、どんな方向のこども食堂を運営していきたいか、それらをできる限り尊重したいと思っている
- 子ども食堂のイメージを多角的に持てるように様々なエピソードを伝えている
- 開催地近辺で実施している運営者に事例発表をしてもらう
- 子ども食堂の意義について理解いただく
- 行政を含め、他団体との繋がりを大事にすることをお伝えする
- まず、こども食堂=子どもの貧困対策という図式を崩すことから
- 資料として運営している子ども食堂の画像や動画などをできるだけ使用している
- 感染対策
- 三部構成的な扱いにして3回(3か月)は通して参加してもらう
- 「できない」と感じる不安要素を言わない「とにかくやってみよう」と思わせるように
- こども食堂の意味や、現場の様子を伝えていくこと、ボランティアさんの意識変容などを詳細に伝えている
新たに子ども食堂を開設したいと相談があった場合、どのように対応しているか教えていただきました。
<その他の回答>
- プロジェクトメンバーそれぞれの役割・強みを活かして対応しています。(例)開催場所の相談⇒空家・空地活用サポートSAGA
- 市町村社協、地区社協につなぐ
- 地域NWが立ち上がっている地域では、地域NWが相談に応じている
立ち上げ相談に乗る際に気をつけていることがあれば教えていただきました。
- 相手方が相談時に伝える主訴と、その背景にある本質的な課題を切り分けてヒアリングするようにしている
- すぐに答えが出るようなノウハウはその場で伝えつつ、自ら考え、クリアすべき課題はしっかり伝えるようにしている
- なるべく近隣の子ども食堂に食べに行って、その活動の様子、子どもたちやボランティアの表情などをしっかり観察するように伝え、設立以後のつながりを保つように助言している
- 知っている限りの関係者や支援者に繋げられるように気を付けている
- どのような思いで開催したいかを確認する(例えばコアな対象者か、地域に開かれた食堂なのか)
- 保健所には相談に行くこと、保険加入は勧める
- 自宅開催の場合は近隣の方へ周知(理解)をすることを勧めている
- どんな思いで開設したいと考えているかを聞き取り、それに合わせてヒト・モノ・金・場所・ほけん等の課題を聴きとるようにしている
- 子ども食堂とは・・・を強要しない
- なるべく負担が少なく、長く続けられるように助言する
- できるだけいろいろな方法があることを伝えている
- どのような団体がどういう形のこども食堂を目指しているのかを事前に聞いて、同じような活動をしている団体を例として紹介している
- こども食堂=子どもの貧困対策というイメージを捨ててもらうことから始める
- 立ち上げを予定している地域の社会福祉協議会との関係づくり。市町社協に一緒に相談にのっていただくなどしている
- フードバンクの利用方法やネットワークの説明をしている
- 無理のないスタートができるように一緒に考える
- 設立目的は何か、地域性に合っているのか、地域の支援・協力はあるか聞き取る
- 基本的には自立運営いただくことになるので、どこで、誰と、どのように開催していくかを具体的に伺い、どのような支援を希望されるのかを具体化していく。(資金、人的支援、場所の確保、食材提供など)
- 基本的な事は必ず伝える(安全・安心の為の運営・保険・アレルギー対応・仲間あつめ・食材)
立ち上げ相談に乗る際に、困ること・これがあればもっとスムーズにいくのにと思うことを教えていただきました。
◯困ること
- テレワークを行ったり、他の事業などで県内を出張していることも頻繁にあり、相手の希望する時間帯や日時ですぐに相談対応できないことがある
- 相談に乗った後に、余力がなくて開設までサポートをしてあげられないこと
- 保健所の対応が各所まちまちで担当が変わるということが違うこともあり苦労している
- 県が営業許可不要を前提に包括承認の取扱を示してくれれば、相談対応がしやすいのですが、進んでおらず課題となっている
- お金が欲しいと言われること
- こども食堂を開催すれば、すぐに参加者が大勢きて、寄附金や寄付品があつまると思われている事
◯これがあればもっとスムーズにいくのにと思うこと
- オンライン相談をもっと相談者に活用してほしい
- もっとネットワークの理事たちが学習し、いろんな角度から相談に乗れるようにしていきたい
- 公民館などの公共施設の利用に対する理解(使用料面の援助等)
- 子ども食堂を立ち上げたいと考える方の「子ども食堂=貧困問題、だから立ち上げにはハードルが高いのでは?」という意識を改善していけたら、もっと開設できる方々が増えると思っている
- 身近な応援者の存在があるとよい
- 助成金の情報(特に、立ち上げ時に申請可能なもの)、ボランティアの情報、保健所への届け出についての情報(保健所によって対応が異なったり、基準が曖昧)
- 保健所で必要となる手続きの内容、保健所による指導内容
- 行政(市役所・町役場、社協、教育委員会)の協力
- 他のNWとの連携、情報の共有
- 立ち上げのマニュアルや気をつけることなどをまとめた冊子やガイドがあればいいと思うので、現在ネットワークにて作成している
- 立ち上げ支援の助成
- 各市町村の行政・団体と情報共有や意見交換会などの実施・連携
- 一般的な立ち上げの流れ・手続きや、支援ネットワーク情報、各種助成金情報などをまとめたサイト等
立ち上げ講座の内容も大変工夫されていて、それをきっかけに新たしく立ち上がったこども食堂も実際にたくさんある現状をシェアしていただき、地域ネットワーク団体の活動の意義深さに触れることが出来ました。
山間部・島しょ部におけるこども食堂支援について
これまでに、山間部や島しょ部でこども食堂の立ち上げを支援された経験はございますか?(選択式)
(前問で「はい」と答えた方)具体的にどの地域のこども食堂立ち上げをご支援されましたか?
- 北海道の場合は、広域で山間部のような場所が多いため、札幌市や旭川市、帯広市、函館市を中心に子ども食堂運営者が多く集まっている
- 愛知県蒲郡市の島
- 山口県周南市鹿野地区
- 広島県三次市、安芸高田市(ともに山間部)
- 三重県南伊勢町
- 長崎県対馬
(前問で「はい」と答えた方)こども食堂を立ち上げられるにあたり障壁となるようなことはあったか、あった場合どのようなことが障壁であったか教えていただきました。
- 立ち上げ相談に乗る際は、近隣の子ども食堂に見学にいくように進めるのだが、紹介できる子ども食堂さんが近隣にない場合の移動時間やコストなど
- 保健所や周囲の理解
- こども食堂にイメージが貧困対策に偏っている傾向がある
- 地域の理解が少なく、こども食堂に来てくださる家族も移住者の人たちだと言っている
- 行政が見て見ぬふりをしている
- 簡単に現地に行くことができない
- 物資も送ることが簡単にできない
現在、山間部や島しょ部のこども食堂に対して物資支援体制は構築されているか情報交換しました。
現在、山間部や島しょ部のこども食堂に対して物資支援体制は構築されていますか?(選択式)
(前問で「はい」と答えた方) 地域ネットワーク団体として取り組まれている具体的な工夫を教えていただきました。
- 山間部の団体に限った支援ではないが、山間部の団体も登録可能な県内子ども食堂などの関係者のメーリング・リストを運営しており(登録者120名以上)、そこを通じて食品寄贈仲介の情報を提供している
- サポートセンターから遠いこども食堂には、物資支援を郵送で対応している
- カフェを会場とする団体があり、常時受け取り可能なため山間部のネットワークにおけるハブの役割を果たしてもらっている
- 山間部の方は週に一度市場での買い出しに来られるので、その時にネットワーク事務所に寄ってもらう、次の週などにどちらかの都合が悪くなることもあるので1回1回他の団体より多めに持って帰ってもらう
- 郡部のハブ拠点の開設拡大
山間部や島しょ部のこども食堂支援に対して、行政など他の機関からの協力が得られる体制になっているか情報交換しました。
山間部や島しょ部のこども食堂支援に対して、行政など他の機関からの協力が得られる体制になっておりますでしょうか。(選択式)
( 前問で「はい」と答えた方)それはどんな機関にどのような協力を得ているか教えていただきました。
- (愛知県)福祉部の子ども食堂開設資金
- (三重県)立ち上げの際に福祉子ども課に連絡
南伊勢町の子ども食堂をやりたいと手を挙げられた方は、南伊勢町、南伊勢町の社協と連携
山間部や島しょ部でこども食堂の立ち上げを支援されていたり、山間部や島しょ部のこども食堂に対して物資支援体制は構築されているとのご回答が30%〜40%弱あり、山間部や島しょ部でもこども食堂の支援の輪が広がりつつあるのを感じました。課題についても情報共有いただきありがとうございました。